離婚事件の解決事例の一例
当事務所が扱った離婚事件の一例をご紹介します。
珍しい例ですがこの依頼者の方の場合には、夫であるご依頼者が妻より激しいDVを受けている事案でした。
その傷害自体の証拠については明白な証拠があったため、相手方及びその弁護士と離婚についての交渉を行いました。
しかし、相手方としては離婚自体につき、強く反対したため、交渉で解決することはできずに直ちに離婚調停を申し立てました。
日本の法律では、離婚事件につき、基本的にいきなり裁判をすることはできず、原則調停を行う必要があります。これを調停前置主義といいます。
調停においても相手方は離婚自体に同意することはなかったため、時間を浪費することを避けるために、早めに調停を打ち切るように調停委員にお願いして、調停を不調にしました。
その後、離婚訴訟(裁判)を提起しました。
この事案では特段財産分与を行うような財産はなく、また親権者については相手方にするということで、依頼者は納得していたため、離婚すること自体が大きな争点となりました。
相手方は裁判の中でも、暴力行為については争ってきたため、原告・被告お互いに何度かずつ主張の書面を提出した後で、本人尋問を実施しました。
このケースでは、怪我をしていること自体の証拠ははっきりしており、そのことに関する当事務所の弁護士の反対尋問に相手方が不合理な弁解に終始したために、判決では明確に当方の事実関係が認められ、また500万円という高額の慰謝料が認められました。
しかし、相手方はさらに、判決につき、控訴を行ったため、審理は高等裁判所に移りました。
この依頼者の方の場合には、判決を取得しても相手方に差押えるべき財産がなかったこと、依頼者名義の自宅につき相手方の妻が占拠して家を追い出されていたこと、相手方から訴訟中に婚姻費用請求ということで婚姻費用分担の審判に基づく給料の差押がなされていたこと、依頼者が経済的補償は求めずにとにかく早急に離婚したいことという要素がありました。
そのため、経済的な面に固執するよりは、早期に相手方に家から退去してもらった方が実質的に経済的な面でも有利なことが多かったために、結局高等裁判所で離婚を前提に和解することで解決しました。
この事案では、実際上の法律的な請求権に基づき、判決を得た上で、依頼者の方のどのような利益を優先すべきかについて判断がなかなか難しい事案でしたが、依頼者の方との細かな打ち合わせのもと、解決をすることができ依頼者の方には感謝して頂けました。